今こそ政治判断を!ステイホーム出来ない国民を置き去りにするな

今こそ政治判断を!ステイホーム出来ない国民を置き去りにするな

安倍総理は5月25日午後より新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言を全面解除した。
その内容については自画自賛的というか日本の感染症の対応を国連事務総長に褒められたやら
ロックダウンのような強制措置を取らず感染者と死者を抑えられたのは医療関係者の尽力や
国民の皆様のステイホームのお陰やらと誉めそやしていた。

そして安倍総理は、さあ!日常を取り戻そうと言い出したのだが、
彼の頭の中にはステイホーム出来ない国民の姿はないようだ。
安倍総理は緊急事態宣言は、欧米のロックダウンに比べて緩いと言っていたが事実は異なる
日本人特有の同調圧力は非常事態宣言後に強力に高まりコロナ感染者を悪とし隔離すべきという論調が主流になった。

本来、目に見えない新型コロナウイルスへの感染は感染者の責任ではない。
ところが、コロナ感染=悪という風潮がマスコミから流布された結果、感染者が差別される事例が続出。
さらにマスコミに煽られた国民から自粛警察なる人々が登場し
マスクをしていない人々を怒鳴りつけたり、県外ナンバーの車に投石するなど差別が散見された。

また、密集、密接、密閉の三密に陥りやすい介護施設はさらに大変である。
1人でも感染者が出れば施設が消毒され、閉鎖されるという理不尽な風潮の為に職員は極度の緊張を強いられた。
さらに、クラスターを恐れる余り、訪問介護や利用者の新規受け入れを中止する介護施設もあり
リハビリやグループ学習が出来ないままフレイルが悪化し認知機能低下が見られる老人も出ている。

2020年の日本では、単身世帯の38%、2人以上でも23.6%が貯蓄ゼロ世帯になっている。
このような貧困世帯ではコロナ不況で失業すると直ちに生活困難になってしまうが行政の対策は見えない。
テレビでもラジオでもステイホームの掛け声は盛んだが、安全にステイホームできるのは貯蓄があり
リモートワークで仕事が出来る比較的恵まれた国民だけである。

同じ国民には、生活するのに他人の手を必要とし、リモートワークが出来ない仕事に勤務し
仕事を失えばすぐに生活に困る貯蓄ゼロの人々もいるのだ。その想像力を持ってもらいたい。

では、どうすべきか?少なくとも介護施設についてはスーパー並みに利用基準を緩和する必要があるだろう。
スーパーは食品衛生の都合上、頻繁に換気出来ないし、天井も低くウイルスが蔓延しやすい構造だが
市民生活に必要であるという政治判断で、利用に制限が設けられてはいない。
同じような事例には献血車もある、狭い車内で行われる献血は三密の極みだが、
献血は不要不急ではないという政治判断で緊急事態宣言の対象外とされた。

日本国民は憲法25条で健康で文化的な最低限度の生活を保障されており、緊急事態だからと言って
介助を必要とするお年寄りや障碍者へのサービスが縮小されてよい筈はない。
そこにリスクがあっても、憲法25条を蔑ろにしていい筈はない、だからこそ医師ではなく政治家の政治判断が必要である。
リスクを現場に丸投げし、冒されている憲法を無視するなら政治家に存在意義などないだろう。

新型コロナウイルスは消滅せず、季節性インフルエンザと共に今秋にも流行すると見られている。
総理にはステイホームできない国民もいる事を自覚し、全ての国民が生活の心配をせず
手厚い医療を受けられ、コロナにまとわりつく偏見を撲滅するように願いたい。